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貯金を扱う農協と扱わない農協

農協の口座あてに振り込もうとして、相手の農協が金融機関の一覧に見あたらないことがあります。
すべての農協が貯金を扱っているわけではないためです。

単位農協は1,365組合、貯金を扱うのは510組合

農林水産省は毎年「農業協同組合等現在数統計」で組合の数を公表しています。
最新の数字は2026年3月31日現在のものです。

単位農協の数(2026年3月31日現在)
区分 組合数
総合農協
(信用事業を行う)
510
専門農協
(出資組合 442・非出資組合 413)
855
合計 1,365

貯金を扱う農協のほうが少数です。
統計の区分は組合の定款によって決まり、同統計の例言は総合農協を次のように定義しています。

総合農協… 信用事業を行う農協(平成8年3月末より信用事業を行う専門農協については総合農協に含める。) 農林水産省「令和7年度農業協同組合等現在数統計」例言

❗ この510という数字には注意点があります。
同統計の注は、平成29年3月末から令和4年3月末までの期間に限り、信用事業を他へ譲渡して業務の代理を行う農協も総合農協に含めていたと記しています。
信用事業の譲渡そのものについては「JAバンク・JFマリンバンクのしくみ」で説明しています。

振込を受けられるのは貯金を扱う組合だけ

これは慣行ではなく、農業協同組合法がそう定めています。
まず、農協が行える事業は同法第10条第1項に号ごとに並んでいます。お金を貸すことと預かることは別の号です。

農業協同組合法 第10条第1項(抜粋)
事業
第2号 組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付け
第3号 組合員の貯金又は定期積金の受入れ

そのうえで同条第6項が、第1項第3号(貯金の受入れ)を行う組合に限ってできる事業を並べています。

第一項第三号の事業を行う組合は、組合員のために、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 手形の割引
二 為替取引
三 債務の保証又は手形の引受け 農業協同組合法 第10条第6項(抜粋)

振込は為替取引です。
つまり貯金を受け入れていない農協は、法律上そもそも振込を扱えません。貸付だけを行う農協があっても、そこへ振り込むことはできません。

振込のしくみそのものは「銀行振込のやり方」、金融機関コードの探し方は「金融機関コードの調べ方」にまとめています。

「専門農協」という言葉には2つの意味がある

この話を調べるとき、「専門農協」という言葉が2通りに使われていることに注意が必要です。

「専門農協」の2つの使われ方
どこで使われるか 意味
農林水産省の統計 総合農協を除く単位農協。つまり信用事業を行わない農協
日常的な使い方 畜産・酪農・養鶏・園芸特産のように、特定の部門に特化した農協

統計の例言は「総合農協を除く単位農協を『専門農協』という」と定義しており、信用事業の有無で切り分けています
一方で組合自身は、扱う品目の面から「専門農協」と名乗ることがあります。長野県川上村の川上物産農業協同組合は、自らの組合案内でこう説明しています。

専門農協という言葉が聞きなれないかと思いますが、一般的な農協(総合農協)と違い共済や金融(信用)事業を行わない野菜の生産販売に特化した全国でも数少ない農業協同組合のことです。 川上物産農業協同組合「組合案内」

統計の区分は信用事業をやるかどうか、組合の説明は何に特化しているかを指しています。
多くの場合この2つは重なりますが、同じ言葉が別のことを指している点は押さえておくと混乱しません。

業態そのものの違い

銀行・信用金庫・信用組合・農協といった業態の違いは「金融機関の種類」、JAバンクの組織のしくみは「JAバンク・JFマリンバンクのしくみ」で説明しています。
農協の貯金を守るしくみについては「預金保険で守られる単位」にまとめています。

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