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ことら送金とは?

ことら送金のロゴ
ロゴ:株式会社ことら

他の人にお金を送るとき、ふつうは金融機関コード・支店コード・口座番号を教えてもらう必要があります。
10万円以下であれば、それを聞かずに携帯電話番号だけで送る方法があります。
それがことら送金です。

2022年10月11日に、20社でサービスが始まりました。
銀行のアプリやスマホ決済アプリの中に組み込まれているため、「ことら」という名前を意識せずに使っている人もいます。

運営会社は「株式会社ことら」

運営会社は株式会社ことらです。
2021年7月1日に設立された、資本金17億円の会社です。
株主はみずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行・埼玉りそな銀行の5行で、事業内容は資金決済インフラの構築と運営です。

全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は、この経緯を「2020年の都市銀行5行による小口決済インフラ構想公表を受け、翌2021年にインフラ運営会社として株式会社ことらが設立されました」と説明しています。
つまり銀行がつくった、銀行とは別の会社です。

携帯電話番号で送るには、相手の登録が要る

送り先の指定のしかたは何通りかありますが、実務で効いてくる分かれ目はひとつだけです。
携帯電話番号やメールアドレスで送れるのは、相手がその番号を自分の口座に紐付け登録している場合だけです。
口座番号を教えてもらうなら、相手側の準備は要りません。

相手側の準備で分けた、送り先の指定のしかた
相手側の準備 相手から聞くもの
要る
→ 相手がアプリで、自分の口座と番号を紐付け登録しておく
・携帯電話番号
・メールアドレス
要らない
→ そのまま受け取れる
・口座番号
・バリューID(Pay事業者のID)

登録していない相手に送りたいときは、口座番号を教えてもらう形になります。

ことら送金の専用アプリはありません。
対応している銀行や資金移動業者のアプリの中の機能として提供されています。

銀行振込との違い

どちらも相手の口座にお金を移す点は同じですが、使える場面と、間違えたときの取り返しが違います。
大きいのは、金額に上限があることと、送ったあとに取り消せないことの2つです。

ことら送金と銀行振込の違い
項目 ことら送金 銀行振込
1件あたりの上限 10万円まで 上限なし
(金融機関ごとの設定はある)
指定する情報 携帯電話番号口座番号バリューID のいずれか 金融機関コード支店コード口座番号
取り消し できない 組戻しの手続きがある
(相手の同意が必要)
使う場所 対応アプリの中だけ ATMネットバンキング窓口
手数料 各事業者が決める 金融機関・方法・金額による

取り消しができない点は、銀行振込との大きな違いです。
株式会社ことらは名義確認照会の機能を用意しており、送金前に送り先を十分に確認するよう案内しています。

手数料について、同社は「手数料は、各事業者が決定します。サービスを開始している先は無料です」と案内しています(同社サイトに2026年8月時点との注記があります)。
決めるのは各事業者なので、実際にいくらかかるかは利用するアプリの提供元で確認してください

ゆうちょ銀行あては「記号・番号」では送れない

ゆうちょ銀行の口座あてにも、ことら送金は使えます。
ただし口座番号を指定して送る場合には注意が要ります

株式会社ことらは2024年2月21日に、次のとおり案内しています。

現在のゆうちょ銀行の「記号(5ケタ)」「番号(8ケタ以下)」のままでは送金できません。 株式会社ことら「ゆうちょ銀行口座へのことら送金に関するお知らせ」

必要なのは振込用の「店名(または店番号)・預金種目・口座番号」で、同社はこれを「全銀システムを利用したお振込と同じ」ものだと注記しています。
つまり他の金融機関から振り込むときと同じ変換が要るということです。

記号・番号から店名・口座番号への変換には法則があります。
ゆうちょ銀行への振込方法(変換の法則)

資金の清算は1日2回、全銀システムで

ことらシステムは全銀システムとは別のシステムですが、切り離されているわけではありません。
全銀ネットは、両者の関係をこう説明しています。

接続する事業者間の資金清算は、日中2回、全銀システムに連携されて、最終的な決済を行う仕組みです。 全銀ネット「ことらシステムとの連携について」

利用者から見た送金は即時ですが、金融機関どうしのお金のやりとりは1日2回にまとめられ、最後は全銀システムで決済されます
1件ごとに全銀システムを通る銀行振込とは、そこが違います。
→ 「内国為替制度運営費とは

全銀ネットはあわせて、ことらシステムが口座名義確認機能を実装していること、預金取扱金融機関だけでなく資金移動業者にも接続を開放していることを挙げています。

そもそも小口の送金に別の仕組みを作るという方針は、2020年7月17日に閣議決定された成長戦略実行計画に書かれていました。
同じ計画の中で、銀行間手数料の見直しと並べて「多頻度小口決済を想定した低コストの新しい資金決済システムの構築を検討する」とされています。

電話番号で送る方式は「Addressing Service」

携帯電話番号やメールアドレスから口座を特定して送る方式は、Addressing Serviceと呼ばれています。
全銀ネットは「次期全銀システム基本方針」の中でこの方式を取り上げ、英国のPaym、シンガポールのPayNow、豪州のPayIDを例に挙げています。

結果は国によって分かれています。
全銀ネットは、国民の多くがPayNowの利用者であるシンガポールのような国がある一方で、英国のようにあまり利用されず廃止を決定した国もあると書いています。
そのうえで、日本での導入の要否は、ことら送金の浸透状況と中長期的な顧客ニーズを慎重に踏まえて検討することが望ましい、としています。

「ことら」という名前の由来

「ことら」は「小口トランスファー」の略です。

株式会社ことらの当時の代表取締役社長である川越洋氏は、2021年11月1日に公開されたインタビューで次のように話しています。

「小口トランスファー」を略して「ことら」。音の響きや字面がかわいいと、若いメンバーたちから好評だったこの名称がプロジェクトネームになり、そのまま会社名にしてしまいました。 Octo Knot(NTTデータ)「ことら川越社長と語る 銀行界の新たな決済への挑戦」

英文表記がCotraで、KではなくCで始まるのにも理由があります。
同じインタビューで、本来なら「KOTRA」になるところを、コーオペラティブ・トランスファーシステムという目指す世界観を表すために、頭の文字をあえて「C」にしたと説明されています。

会社の公式サイトには由来の記載がないため、社長本人の発言が載っているインタビュー記事を出典としています。

対応事業者と累計送金額

株式会社ことらの発表によると、規模はこう推移しています。

株式会社ことらの発表による規模
時点 発表の内容
2022年10月11日20社でサービス開始
2026年4月22日累計送金金額3兆円を突破
424社が送金手数料無料
2026年7月15日対応事業者が431社に拡大

対応する事業者は随時増えているため、ここに書いた数字は上記の時点のものです。
最新の一覧は株式会社ことらの「使える事業者一覧」で確認できます。

自分が使っている銀行のアプリが対応しているかどうかは、この一覧か、アプリの中のメニューで確認するのが確実です。

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