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次期全銀システム(第8次)

銀行間の振込を処理している全銀システムは、1973年の稼働以来概ね8年ごとに作り替えられています。
次にあたる第8次全銀システムの稼働予定は2028年5月です。

今回の更改は、これまでと性格が違います。
50年以上使ってきたメインフレームをやめること、そして2023年10月の障害を踏まえて移行のやり方を変えたことです。

全銀システムは8年ごとに作り替えられている

全銀ネットは、全銀システムについて「1973年に稼動して以降、概ね8年ごとにシステム更改を行っている」と説明しています。
現行は2019年11月に稼働した第7次全銀システムで、これまでに6度の更改を経てきました。

その第7次の更改期限は2027年11月でした。
ただし第8次の開発を安全・確実に進めるため、第7次の稼働期間は2028年5月まで延長されています。
全銀ネットは、この延長による利用者への影響はないとしています。

更改の流れ(全銀ネットの公表資料による)
時期 できごと
1973年4月全銀システム稼働
2018年10月モアタイムシステム稼働。24時間365日化を実現
2019年11月第7次全銀システム稼働(現行)
2022年10月参加資格を資金移動業者へ拡大
2023年3月次期全銀システム基本方針を公表
2024年10月稼働予定時期を2028年5月と決定し、開発に着手
2028年5月第8次全銀システム稼働(予定)

24時間365日化の経緯は「モアタイムシステムとは」で説明しています。

やめる理由は「部品が無くなるから」

第8次では、従来のメインフレームからオープン系のシステムへ刷新されます。
理由として真っ先に挙げられているのは、性能でも機能でもなく製品の終了でした。

基本方針の注記には、次のように書かれています。

全銀システムが採用しているメインフレームは、製品提供ベンダーから、2030 年に販売を終了、2035 年に保守を終了することが公表されている。 全銀ネット「次期全銀システム基本方針」(2023年3月)

あわせて、メインフレームの製品市場が縮小して高コストになること、前提となるCOBOL技術者の高齢化が課題として挙げられています。

同じ資料は、現行システムの長所と短所を整理しています。
短所として挙がっているものが、そのまま次期システムの狙いになっています。

現行システムの長所と短所(全銀ネットの整理より抜粋)
長所 短所
2センター両現用による極めて高い可用性 密結合・独自プロトコルによる柔軟性・拡張性の低さ
テレ為替で1時間600万件の高い処理性能 製品市場の縮小による高コスト、技術者の維持・確保の懸念
中継コンピューター(RC)が参加者の開発負担を軽減 独自プロトコルによる高い接続ハードル、重い接続負担

コンセプトとして掲げられているのは「安全性」「効率性」「柔軟性」の3つで、全銀ネットはこれらが一般にトレードオフ関係にあると認めたうえで、高いレベルでバランスを取ることを目指すとしています。

2023年10月の障害が、移行のやり方を変えた

基本方針が公表された2023年3月の時点で、全銀ネットは現行システムをこう書いていました。

24 時間365 日常時運用状況を監視しており、1973 年に稼動して以来、オンラインを停止する事故・障害は一度も発生していない。 全銀ネット「次期全銀システム基本方針」(2023年3月)

この7か月後の2023年10月10日、中継コンピューターの更改をきっかけに、10金融機関の他行あて振込が丸2日にわたって処理しきれない事態が起きました。
経緯は「2023年10月の全銀システム障害」にまとめています。

この障害は、次期システムの移行方式に反映されました。
全銀ネットは2024年10月17日の公表資料で、こう述べています。

昨年10 月のRC23 シリーズ障害の改善・再発防止策を踏まえて、システム移行時には現行の第7次全銀システムと第8次全銀システムを並行稼動し、万が一、第8次全銀システムに不具合等が生じた場合も直ちに第7次全銀システムに切り戻すことにより利用者の皆さまに影響を与えず業務継続を図ることが可能な移行方式を採用することといたしました。 全銀ネット「次期全銀システムの稼動予定時期について」(2024年10月17日)

2023年12月1日の報告でも、全銀ネットの再発防止策として「移行計画において、移行・稼動後の障害対策としての切戻しを含めた必要なコンティンジェンシープランの策定」が挙げられていました。
新旧を並行して動かし、問題が出たら切り戻すという移行方式は、この項目が形になったものといえます。

参加できる先が広がっている

全銀システムに参加できるのは、長いあいだ預金取扱金融機関だけでした。
これが2022年10月に資金移動業者へ拡大されています。

全銀ネットは、切れ目のないキャッシュレス社会の実現に貢献すべく、資金移動業者と預金取扱金融機関との間で全銀システムを通じた送金ができる環境を構築した、と説明しています。

接続の方法も変わります。
従来は中継コンピューター(RC)を置く必要がありましたが、APIゲートウェイという新しい接続方法の開発が決まっており、基本方針では2025年7月を最速のサービス提供開始タイミングとして着手すると書かれています。
新しく参加する事業者の接続負担を軽くすることが狙いです。

10万円以下の個人間送金である「ことら送金とは」も、預金取扱金融機関だけでなく資金移動業者に接続を開放しています。

検討されている新しい機能

基本方針は、主要業務を担うミッションクリティカルエリアと、機能を追加していくアジャイルエリアを分ける構成を示しています。
後者で挙げられているのは次の3つです。

アジャイルエリアで挙げられている新機能(全銀ネット「次期全銀システム基本方針」)
機能 内容
受取人口座確認 振込先の口座名義が合っているかを確認する。
次期システム稼働時の実装を目指すとされている
Addressing Service 携帯電話番号などから口座を特定して送る方式
Request to Pay 支払いリクエスト

3つのうち受取人口座確認だけが「稼働時の実装を目指す」とされ、残る2つは稼働期間中に利用者ニーズの変化に応じて追加的・段階的に実装できる準備を行う、という書き方になっています。
つまりAddressing ServiceとRequest to Payは、やると決まったわけではありません

Addressing Serviceについては、全銀ネットは英国のPaym、シンガポールのPayNow、豪州のPayIDを例に挙げつつ、英国のようにあまり利用されず廃止を決定した国もあると記しています。

よくある質問

2028年5月に何か手続きが必要ですか?

公表資料に利用者側の手続きを求める記載はありません。
第7次の稼働期間延長についても、全銀ネットは「この稼動期間延長に伴うお客さまへの影響はございません」としています。

振込の手数料や着金の速さは変わりますか?

現時点の公表資料に、手数料や着金時間の変更は書かれていません。
掲げられているのは安全性・効率性・柔軟性の3つで、効率性は主に参加者側の負担とコストの話として説明されています。
金融機関どうしがやりとりする費用については「内国為替制度運営費とは」を参照してください。

稼働日は確定していますか?

確定していません。
全銀ネットは「正式な稼動日は、開発の進捗状況や試験結果等を踏まえたうえで、別途お知らせします」としています。

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