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商工中金(商工組合中央金庫)とは?

商工中金(商工組合中央金庫)のロゴ
ロゴ:株式会社商工組合中央金庫

商工中金(正式には株式会社商工組合中央金庫)は、中小企業の組合が株主になっている金融機関です。
名前に「銀行」が付かず、支店は全国にあるのに一般の知名度は低い——という、少し座りの悪い存在です。

金融機関コードは2004
1973年に全銀システムが動き出したときの参加88行にも、全国銀行と並んで名前が入っています(→ 「合併・改称で金融機関コードはどうなるか」)。
つまりできたばかりの新顔ではなく、最初からいる古株です。

一言でいうと「中小企業の組合が株主の金融機関」

商工中金は1936年に、国と中小企業の組合が共同で出資して設立されました。
2008年10月に株式会社になり、現在は株式会社商工組合中央金庫法という専用の法律に基づく特殊会社です。
銀行法に基づく「銀行」ではありません。
銀行・信用金庫・信用組合・農協といった業態ごとの違いは「金融機関の種類」にまとめています。

商工中金と普通の銀行の違い
項目 商工中金 銀行
根拠法 株式会社商工組合中央金庫法 銀行法
株主に
なれる人
中小企業の組合など
(法律で限定)
制限なし
預金・為替 誰でも利用できる 誰でも利用できる
融資の相手 株主である団体と
その構成員に限る
制限なし
個人向け融資
(住宅ローンなど)
行っていない 行う

根拠法の内容はe-Gov法令検索「株式会社商工組合中央金庫法」、 個人向け融資を行わない点は中小企業庁「商工中金改革について」(2023年9月)で確認しました。

預金は誰でもできる。限られているのは融資だけ

「組合の金融機関」と聞くと、口座を作るところから資格が要りそうに思えます。
実際には違います。商工中金法第21条は、営む業務を次の3つと定めています。

  1. 預金または定期積金の受入れ(相手の制限なし)
  2. 融資対象団体等に対する資金の貸付け・手形の割引(相手が限定される)
  3. 為替取引(相手の制限なし)

限定が掛かっているのは2番目だけです。
個人の口座開設も、Web申込の場合は「18歳以上・国内在住・日本国籍・運転免許証またはマイナンバーカードを持っている」が条件で、 中小企業団体の構成員である必要はありません

ただし住宅ローンなどの個人向け融資は行っていません
個人にとっての商工中金は「預金と振込はできるが、借りることはできない金融機関」ということになります。

預けたお金の保護は銀行と同じ扱いです。
預金保険法第2条は「金融機関」の9番目に株式会社商工組合中央金庫を挙げており、商工中金の預金も預金保険の対象です。
保護される単位は「預金保険で守られる単位」で説明しています。

融資を受けるには、株主である団体の構成員になる必要がある

商工中金の株主になれる法人は、商工中金法第6条で列挙されています。
一般の企業や個人は株主になれません。

  • 中小企業等協同組合(事業協同組合・企業組合・協同組合連合会など)
  • 協業組合、商工組合、商工組合連合会
  • 商店街振興組合、商店街振興組合連合会
  • 生活衛生同業組合、酒造組合、酒販組合、内航海運組合、輸出組合 など

融資の相手は、この株主になっている団体と、その構成員です。
相談の段階では構成員でなくてもよく、融資を受ける時点で構成員になっていればよいとされています。

商工会議所・商工会とは別の組織

「商工」で始まる名前が複数あるため混同されがちですが、商工中金・商工会議所・商工会は互いに別の組織です。
商工会議所は前項の株主団体の一覧に含まれておらず、商工会議所の会員であることが商工中金の融資の条件になることもありません

ロゴ 名称 根拠法 役割
商工中金 株式会社商工組合中央金庫法 金融機関
(預金・為替・融資)
商工会議所 商工会議所法 地域の経済団体
(主に市部)
商工会 商工会法 地域の経済団体
(主に町村部)

商工会議所と商工会は金融機関ではないため、金融機関コードを持ちません。

小規模企業共済とのつながりは「借入窓口」

小規模企業共済を掛けていると、商工中金の名前を目にすることがあります。
ただし制度そのものを運営しているのは商工中金ではなく、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)です。

接点は貸付制度の窓口にあります。
共済の契約者は掛金の範囲内で貸付を受けられますが、その借入窓口について中小機構はこう案内しています。

借入窓口を登録申出をしなかった共済契約者の借入窓口は、商工組合中央金庫の本店又は支店となります。

つまり何も手続きをしなければ、既定の借入窓口が商工中金になるということです。
共済の加入者が商工中金と関わるのは、主にこの経路です。

政府の株式はゼロになった。ただし商工中金法は残っている

商工中金は長く「半官半民」と言われてきました。
2023年9月時点でも、株式は政府が46.5%、中小企業組合等が53.5%を保有していました。

その政府保有株式は、2025年6月12日に自己株式取得の形で全部処分され、 翌13日に改正商工中金法が施行されました。政府の持ち株はゼロです。

ここで「完全民営化された」と書かれることが多いのですが、法律の上ではまだそう言えません。
株式会社商工組合中央金庫法は現在も存続していて、その第1条は「その完全民営化の実現に向けて」という書き出しのままです。

株式会社商工組合中央金庫は、その完全民営化の実現に向けて経営の自主性を確保しつつ、中小企業等協同組合その他主として中小規模の事業者を構成員とする団体及びその構成員に対する金融の円滑化を図るために必要な業務を営むことを目的とする株式会社とする。 株式会社商工組合中央金庫法 第1条

同法の附則も、法律を廃止する措置は今後の検討事項としています。
中小企業庁の資料も、政府保有株式の売却とは別項目で「完全民営化の実施(商工中金法の廃止等)を判断」と整理しています。
政府の出資が無くなったことと、法律上の完全民営化は別ということです。

なお、政府保有株式の売却後も危機対応業務を実施する責務は法律で課されたままです。
災害や金融危機のときに中小企業へ資金を供給する役割は残っています。

民営化に向かった発端は2016年の不正

2016年、商工中金の危機対応業務で不正事案が発覚しました。
中小企業庁は原因を「危機対応業務に依存したビジネスモデル」と整理し、商工中金は「解体的出直し」に着手します。
2018年以降の経営改革を経て、2023年の法改正で政府保有株式の全部売却が決まりました。

資金の集め方も銀行と違う

もう一つ、普通の銀行と大きく違うのが資金の集め方です。
大規模な地方銀行は資金のすべてを預金で集めますが、商工中金はおよそ4割を「商工債」の発行で市場から調達しています(2023年3月期時点)。

商工債は社債と違って証券会社を通さずに発行できるため、機動的に資金を集められるという特徴があります。
預金だけに頼らない構造は、融資先が中小企業に限られていることと表裏の関係にあります。

この商工債も、預金と同じく預金保険の対象になります
ただし対象は発行のときに保護預り契約が結ばれているものに限られます(預金保険法第2条第2項第5号、同法施行令第1条の2)。
商工債を持っている場合は、預金とは条件が違う点に注意が必要です。

金融機関コードと店舗

商工中金の金融機関コードは2004です。
信用組合の番号帯(2011〜2949)や全国信用協同組合連合会(2010)とは別に、2004という番号が単独で割り当てられています。
信用組合そのものについては「信用組合の3つのタイプ」、コードの読み方は「金融機関コードと支店コードの基礎知識」で説明しています。

支店の一覧と支店コードは商工組合中央金庫の店舗・支店一覧で確認できます。
振込をするときは、金融機関コード2004と支店コードの両方が必要です。

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